Leibniz, Grice, Husserl, and Medieval Philosophy

  • Ralph Krömer and Yannick Chin-Drian eds.  New Essays on Leibniz Reception: In Science and Philosophy of Science 1800-2000, Birkhäuser, Publications des Archives Henri Poincaré / Publications of the Henri Poincaré Archives, 2012

This book is a collection of essays on the reception of Leibniz’s thinking in the sciences and in the philosophy of science in the 19th and 20th centuries. Authors studied include C.F. Gauss, Georg Cantor, Kurd Lasswitz, Bertrand Russell, Ernst Cassirer, Louis Couturat, Hans Reichenbach, Hermann Weyl, Kurt Gödel and Gregory Chaitin. In addition, we consider concepts and problems central to Leibniz’s thought and that of the later authors: the continuum, space, identity, number, the infinite and the infinitely small, the projects of a universal language, a calculus of logic, a mathesis universalis etc. […]


Conents

  • Ralf Kromer and Yannick Chin-Drian  ''Introduction''
  • Philippe Séguin  ''The Idea of Number from Gauss to Cantor. The Leibnizian Heritage and its Surpassing''
  • Volker Peckhaus  ''The Reception of Leibniz's Logic in 19th Century German Philosophy''
  • Francoise Willmann  ''Leibniz's Metaphysics as an Epistemological Obstacle to the Mathematization of Nature: the View of a Late 19th Century Neo-Kantian, Kurd Lasswitz''
  • Erika Luciano  ''Peano and His School Between Leibniz and Couturat: The Influence in Mathematics and in International Language''
  • Anne-Francoise Schmid  ''Couturat's Reception of Leibniz''
  • Nicholas Griffin  ''Russell and Leibniz on the Classification of Propositions''
  • Jean Seidengart  ''Cassirer, Reader, Publisher, and Interpreter of Leibniz's Philosophy''
  • Vincenzo De Risi  ''Leibniz on Relativity. The Debate Between Hans Reichenbach and Dietrich Mahnke on Leibniz's Theory of Motion and Time''
  • David Rabouin  ''Interpretations of Leibniz's Mathesis Universalis at the Beginning of the XXth Century''
  • Erhard Scholz  ''Leibnizian Traces in H. Weyl's Philosophie der Mathematik und Naturwissenschaft''
  • Gabriella Crocco  ''Gödel, Leibniz and "Russell's Mathematical Logic"''
  • Herbert Breger  ''Chaitin, Leibniz and Complexity''

この本は去年出た本ですが、つい最近までこのような本が出ていたことを全く知らなかった。知ってすぐさまあわてて注文し、ようやく入手。目次を見ると、どれもこれも興味深い論文ばかりで、わくわくする。Frege との関係から Peckhaus 先生の論文が一番興味深い。Couturat と Russell がどのように Leibniz の logic を受容したかにも興味を覚えるので、Schmid 論文、Griffin 論文も面白そうです。それにちょっと変わったところでは、Peano たちが Leibniz をどう受容したのかという話も興味深い (Luciano 論文)。その他に Weyl や Gödel の話も知りたいところです。でも、まぁ残念ながら、全部読んでいる時間がないので、とりあえず Peckhaus 論文だけでも読みたい。それから、また機会ができたらそれぞれの論文も読みたいです。

  • ポール・グライス  『理性と価値 後期グライス形而上学論集』、岡部勉編訳、勁草書房、2013年

Aspects of Reason, ''Actions and Events,'' ''Metaphysics and Value'' の訳、および訳者解説付き。Aspects of Reason については、飯田隆先生が次の文献の中で、

「これまでに最も感銘あるいは影響を受けた書物、または最も知的興奮を味わった書物を一点か二点挙げ、その理由をお書きください。」(334ページ) という enquête に対し、以下のように答えておられます。

「最も感銘あるいは影響を受けた」というのとも、また、「最も知的興奮を味わった」というのとも違うのですが、グライスとカヴェルという二人の哲学者の書いたものを挙げさせてもらいます。私にとってこの二人は、自分もこのような仕方で哲学をやっていけたならばよいなあと思うタイプの哲学者と、こういう風に哲学をやることは自分には不可能だけれども敬服せざるをえないというタイプの哲学者をそれぞれ代表する存在です。/ グライスに関して日本語で読めるのは、会話的含みの理論で有名なウィリアム・ジェイムズ講義 (一九六七年) を中心に編纂された論文集『論理と会話』ですが、私がもっとも面白いと思い、また感心もするのは、むしろかれの死後、遺稿として出版された二冊、なかでも、Aspects of Reason, Oxford, 2001 です (これについては、岡部勉『合理的とはどういうことか』講談社選書メチエ、二〇〇七年も参照されるとよいと思います)。

飯田先生の理想とする哲学の行いがどのようなものであるか、今回の岡部先生の訳業によって日本語でも接近できるようになりました。

現象学Husserl が数学畑出身であることはよく知られています。そこで本書での問題意識は次のようです。「フッサールは数学者出身ではあるが、それではどのような過程で数学者フッサール現象学者になったのか。」(7ページ) 「本書の内容をそのまま言えば、一人の哲学者フッサールが数学論から現象学を作った過程を数学史の中に位置づけながら語ったものであり、その結果できた現象学の枠組みで数学論の問題がどのように見えるかを説明したものである。」(7ページ) まだ読んでいませんのでおそらくとしか言えませんが、ぱらぱら中を見ると本書では、Weierstrass の解析学の算術化から生じる哲学的問題を解決しようと企てる中で Husserl は自身の現象学を創始した、ということが詳しく述べられているのだろうと推測します。それとともに現象学的な approach を取ることにより、どのように数学的直観なるものが説明できるのかをも、明らかにされているように見えます。力作という感じがします。

これは何の書物と言ったらよいのか? 中世哲学の本ではありますが、山内先生の思いと知的遍歴をつづった本でもあるようで、無知な私にはどのようにまとめればよい本なのか、わからない。目次から point となる文言を一部抜き出して並べるだけにします。ドゥルーズと存在の一義性、フーコーと表象と現前化、ライプニッツ記号論、ノリスの概念論、デカルトにおけるオブジェクト概念、スアレスにおける新たな概念論、アウレオリにおける対象的概念、普遍理論におけるスコトゥス‐アウレオリ‐オッカムの系譜。山内先生の文を読むといつも感じるのは、「中世哲学というのは、よくわからない。本当によくわからない」ということです。わかったつもりにならなくてすむので、先生の文は勉強になります。