哲学関係

  • Michael Detlefsen ed.  Proof and Knowledge in Mathematics, Routledge, 1992/2014

ずいぶん前にこの本の hard 版を手に取って、中の論文のいくつかを copy したことがありましたが、たぶんそれらの論文は読んでいないと思う。今年になって paper が出たので、不勉強を自戒するためにも購入。

この本の姉妹編、

  • Michael Detlefsen ed.  Proof, Logic and Formalization, Routledge, 1992

も、paper 版が今年に出る予定ですが、まだ出ていないみたいです。出れば購入するつもりです。


日本史関係

この書評の、書評対象となっている本の一部を先日拝読致しました。本の前半の橋爪先生のご発言の一部を拝見致しました。そしてとてもがっかりしてしまいました。私には先生の論証が非常にひどいものに映りました。尊敬していた橋爪先生が、このようなぼろぼろの論証をたびたび繰り返しているのを見て、げんなりしてしまいました。今もため息が出てしまいます。さて、それから上記の書評を拝見致しました。予想通り、吉田先生も、橋爪先生を強く批判しておられました。橋爪先生のあの論証では、まぁ、それはそうだろうと思います。吉田先生の橋爪先生に対する最大の批判点は、橋爪先生が天皇を徹底的に立憲君主と見なし、そのことによって天皇を免責しようと図っているのに対し、吉田先生は橋爪先生による立憲君主としての天皇像に、重要な点で反例があることを示し、天皇をどこまでも立憲君主と見なすことには、まったく無理があることを指摘している点です。これもその通りだろうと思います。このように吉田先生は橋爪先生を批判されておられますが、微に入り細を穿って、橋爪先生のご発言の一つ一つを取り上げて次々批判を加えるという体裁は取っておられません。むしろ、吉田先生にとって、橋爪先生の論証は、まったく話にならない、箸にも棒にもかからない、といった風情で、吉田先生は立憲君主としての天皇像を反例によって否定するだけで、橋爪先生に対する批判をさっさと切り上げているように見えます。これも無理はないと思う。それにしても橋爪先生みたいに偉くて物知りの先生が、目を覆いたくなるような発言を何度も連発しているなんて、いまだに信じられません。
天皇立憲君主だったのだとし、立憲君主であったことにこだわりを見せる橋爪先生は、仮に天皇立憲君主だったとしても、そのことにより天皇を免責することは、いかなることをいみするのか、十分考慮されているようには見えません。たとえ天皇立憲君主であったとしても、それによって免責を図ることは、逆説的ですが、かえって天皇の有責性を立証することになると私には思われます。詳細は触れませんが、立憲君主であったとすることで免責を図ることは、そうすることの意図とは裏腹に、罪が重くなってしまうと私には思われます。立憲君主とすることでかえって有責となる、という点を、吉田先生は指摘されていないものの、橋爪先生が天皇を徹頭徹尾、立憲君主と見なし、そこに免罪の根拠を置いて擁護の論陣を張ること自体に、私は問題を感じます。ですから、吉田先生がされているように、単に「天皇立憲君主ではなかったのだ」と言って、事実を上げてそのことを指摘しても、その指摘自体は大切ですが、立憲君主であったか否かにこだわることは実は重要でなく、むしろその点にこだわることは、問題の理解に対する底の浅さを露呈してしまっていることになると私には思われます。今私が述べているような批判は、私のオリジナルではなく、大変古くから (遅くとも1949年以来) 既に指摘されているものです。
私は立派な人間ではありませんので、もうこのあたりでやめにしておきます。間違ったことを述べておりましたら誠にすみません。

この論考は、次の本の解説文です。

今回 copy した吉田先生の論考には、とても興味深いことが書いてあったので、入手しました。その興味深い文章を引用しておきます。『昭和天皇独白録』に関し、

従来、我々は、まず日本語版の「独白録」が作成されたのちに、それを翻訳する形で英語版が作成されたと考えていたが、本書 [『昭和天皇 二つの「独白録」』] が推定するように、東京裁判対策としてまず英語版が急いで作成され、その後、日本語版が最終的に脱稿された可能性が高い。*1

英語版が先らしい。これは意外です。知らなかった。東野先生の本を開いて調べてみると、その135ページに、英語版は1946年4月23日頃、書き上げられたらしく、日本語版は同年の6月1日に書き上げられた、と記されていました。

この本は図書館で手に取って軽く中を見たことがある。興味深く思った。新刊は既に品切れなので、古書で購入。

*1:吉田、「補論2」、351ページ。