Description

ポーランドが念願の独立を果たした1918年,まもなくこの国で大きく花開くことになる学問にとって,太陽のような存在となる若者が処女論文を発表した.数学者ステファン・バナッハ(1892年-1945年),26歳である.本書は,バナッハ空間,バナッハ-タルスキの逆理,バナッハ環など,現代数学の基礎概念にその名を残すポーランドの数学者バナッハについて,広く一般読者を対象に書かれた初めての伝記である.ポーランドの数学が独自の国際的な地位を確立するために,雑誌『ストゥディア・マテマティカ』を創刊するに至った経緯や,古都ルヴフで数学者たちが集い合って自由に数学を議論した伝説的カフェのエピソード,そしてナチス占領下のポーランドでバナッハが迎えた悲劇的な晩年,1945年のその死まで,この祖国の英雄の生涯を描かんと志したジャーナリスト,R.カウージャの視点により,丹念に活写されている.

新刊。原著は以下の通り。

  • Roman Kaluza  Through a reporter's eyes: The life of Stefan Banach, Birkhauser, 1996

10月22日の日記で言及している本の翻訳が出ました。当時のポーランドの数学や論理学の研究状況を知るには簡便と思い入手。その10月22日の日記でも述べているように、いくつかの写真に載っているZylinskiは、やはりいわゆる2変数のシェーファー関数には不両立|と両否定↓の2つしかないことを証明したEustachy Zylinskiではないのでしょうか? 人名索引では‘E. Zylinski’としか出てこないので確たることは言えないのですが…。ちなみに昨日も言及したChwistekの名前もちょこちょこ出てきています。